「翻訳」に含まれる作業

翻訳の作業は、細かく分けると以下のような段階を含んでいます。

①    翻訳(素上がり

作業フロー
フローチャート

日本語(或いはその他の言語)の原稿を外国語に翻訳する第一段階です。

文章の一貫性を損なわないよう、通常は1名の翻訳者が担当します。

ただ、量の多い原稿を短期間で翻訳しなければならない場合には、2名以上の翻訳者が分担で作業を進めることもあります。

② 校正

 

翻訳作業における校正(Proofreading)は、翻訳された文書やテキストを細部まで注意深く確認して、文法的な誤りやスタイルの不一致、タイプミスなどのエラーを修正する作業です。校正は、翻訳者が最初の翻訳を行った後に行う場合と、別の専門家が別途行う場合があります。

校正作業の主な目的は、次の点を確認することです。

  1. 文法とスタイルの確認:校正者は、翻訳文の文法やスタイルが適切であるかどうかを確認します。文の構造や単語の選択、文脈に適した表現などを慎重にチェックします。
  2. 正確性の確認:校正者は、翻訳文が原文の意味を正確に伝えているかどうかを確認します。誤った翻訳や意味のずれがないかを注意深くチェックします。
  3. タイプミスや誤字の修正:校正者は、翻訳文中のタイプミスや誤字を修正します。正確な綴りや句読点の使用など、細かい部分まで注意を払います。
  4. 一貫性の確保:校正者は、文書全体の一貫性を確保します。用語の統一や表現の統一性など、文書全体が一貫しているかどうかを確認します。
  5. 目的や対象読者に適した文書の調整:校正者は、文書の目的や対象読者に応じて適切な調整を行います。表現の改善や語彙の選択など、読み手により適した文書になるように配慮します。

校正作業は、翻訳文の品質を向上させるために欠かせないプロセスです。特に専門的な文書や重要な文書の場合は、校正作業がより重要となります。2名以上の翻訳者が分担して訳した場合は、校正の段階で1名の翻訳者が全体を通して見ることで、用語や表現を統一します。

③ ネイティブチェック

Native checkとは、目的言語が母国語である翻訳者や校正者によって、翻訳された文書の言語的な品質や自然さを確認・修正するプロセスを指します。

ネイティブチェックは、翻訳品質を向上させ、目的言語の読者にとって自然で理解しやすい文書に仕上げるために行われます。

ネイティブチェックの主な目的は以下の通りです。

文法的誤りの修正:

文法や句読点の誤りを見つけて修正します。

自然な表現の確保:

その言語の慣用表現やイディオムに精通しているため、不自然な表現を見つけやすく、適切な表現に修正できます。

文体やトーンの統一:

文書全体の文体やトーンを統一し、一貫性を保つことができます。

ターゲットオーディエンスへの適応:

ターゲットオーディエンスの文化や言語習慣に応じて、文書を適切に修正することができます。

翻訳作業の最終段階で行われることが一般的です。翻訳者が翻訳を終えた後、ネイティブスピーカーがチェックを行い、必要に応じて修正を加えます。このプロセスは、翻訳の品質を向上させるための重要な手段となっており、特に商業文書、広告、ウェブサイトのコンテンツなど、言語の自然さや魅力が重要な分野で重要視されています。

*弊社が通常「翻訳」として承る作業は、上記①~③の作業に、最終チェックを加えたものになります。

④ クロスチェック

翻訳作業におけるクロスチェックは、一般的に2人以上の翻訳者が同じ文書やテキストを独立して翻訳し、その後それぞれの翻訳を比較して一貫性や正確性を確認する作業を指します。

クロスチェックの主な目的は、以下の点を確認することです。

  1. 一貫性の確保:複数の翻訳者が同じ文書を翻訳する場合、表現や用語の一貫性を保つことが重要です。クロスチェックによって、異なる翻訳者が同じ文脈で同じ用語や表現を使用しているかどうかを確認します。
  2. 正確性の確認:異なる翻訳者が同じ文書を独立して翻訳することで、間違いや誤解を防ぐことができます。クロスチェックによって、翻訳の正確性や意味の一致を確認します。
  3. 柔軟性と選択肢の提供:複数の翻訳者が異なる解釈や表現を提供することで、最適な翻訳を選択するための選択肢が増えます。クロスチェックによって、異なるアプローチや表現を比較し、最適な選択肢を見つけることができます。

クロスチェックは、翻訳品質を向上させるための重要な手法の1つです。特に重要な文書や専門分野の翻訳では、複数の翻訳者が協力してクロスチェックを行うことが一般的です。

⑤ ポストエディット(Post Edit)

ポストエディット(Post Edit)とは、機械翻訳の後に人間による編集を指します。機械翻訳技術は日々進化していますが、完璧な翻訳を提供することは難しいため、機械翻訳の出力をさらに修正し、品質を向上させるために人間が介入する必要があります。

例えば、「Trados」や「Prase TMS」等の翻訳支援ソフトを使用すると、日本語の一文節ごとに対応日本語の順番に対応した訳文が作成されます。この場合、文節の構成は、日本語と同じパターンになってしまいます。それぞれの言語は、同一の事象を説明する場合にもそれぞれ異なった言い回しをしようしますので、一文節ごとの対訳では、全体として不自然な文章になってしまうことがあります。
ポストエディット作業では、機械翻訳の出力を評価し、文法的な誤りや意味のずれ、適切な文脈への適合などを確認して修正します。これには単語やフレーズの置き換え、文の再構築、文脈に応じた語彙の選択などが含まれます。翻訳の品質を向上させるため、文脈や文化的なニュアンスに敏感なポストエディターが重要です。

ポストエディットは、専門的な文書や高品質な翻訳が求められる場合に特に重要です。技術文書や医学文書などの専門分野では、正確性と専門知識の要求が高いため、機械翻訳のみでは不十分な場合があります。

ポストエディットの目的は、支援ソフトや機械翻訳を通じて効率的に翻訳の品質を向上させることです。ただし、このプロセスは時間とリソースを必要とするため、翻訳プロジェクトの要件や品質基準に応じて適宜実施をいたします。

⑥ バックトランスレーション

バックトランスレーション(back-translation)とは、翻訳された文書を元の言語に戻す逆翻訳のプロセスを指します。これは、主に翻訳品質のチェックや確認のために使用されます。具体的には、まず元の文書を目的言語に翻訳し、次にその翻訳された文書を元の言語に戻す(バックトランスレーション)手順を踏みます。

バックトランスレーションを行うことで、翻訳された文書が元の文書の意味やニュアンスを正確に伝えているかどうかを確認することができます。元の文書とバックトランスレーションされた文書を比較することで、翻訳の精度や品質を評価できます。

ただし、バックトランスレーションにはいくつかの限界があります。例えば、言語によっては、同じ意味を持つ複数の表現が存在するため、バックトランスレーションされた文書が元の文書と完全に一致しない場合でも、翻訳品質が適切である可能性があります。また、バックトランスレーションは時間と費用がかかるため、すべての翻訳プロジェクトに適用できるわけではありません。

バックトランスレーションは、特に医療、法律、契約書など、正確性が重要な分野で用いられることが多いです。このプロセスは、翻訳品質を向上させるための1つの方法として、他の品質管理手法と組み合わせて使用されることがあります。

 

「翻訳」後に組み合わせる作業

翻訳と以下の作業を組み合わせてのご依頼も承ります。

・DTP(版下作成)

パンフレット、チラシ、カタログなどの版下から日本語テキストを抽出し、翻訳した後、日本語テキストの箇所に外国語を入れる、または日本語と併記します。

・映像字幕作成

映像につけられた日本語字幕を外国語に翻訳します。納品形式は、ワード、エクセルなどのテキストファイルのほか、そのまま映像ファイルにはめ込み可能な画像ファイルでも納品可能です。

・ナレーション録音/ナレーター派遣