「翻訳」に含まれる作業
翻訳の作業は、細かく分けると以下のような段階を含んでいます。
翻訳(素上がり)
日本語(或いはその他の言語)の原稿を外国語に翻訳する第一段階です。
文章の一貫性を損なわないよう、通常は1名の翻訳者が担当します。
ただ、量の多い原稿を短期間で翻訳しなければならない場合には、2名以上の翻訳者が分担で作業を進めることもあります。
翻訳作業における以下の用語について、それぞれの説明とその違いを詳しく説明します。
校正(Proofreading)
目的: 翻訳文書の最終段階で行われる作業で、技術的な誤りや形式的な問題を修正します。スペルミスや文法的なミス、句読点の誤り、フォーマットの不備などを確認し、修正します。
主な作業内容:
- スペルミスや誤字の修正
- 文法や句読点の誤りの修正
- フォーマットやレイアウトの調整
- タイポグラフィ(フォントやスタイル)の確認
特徴: 翻訳内容の修正や大きな変更は行わず、形式的な誤りを修正する最終段階の作業です。
校閲(Editing)
目的: 翻訳文の全体的な内容、スタイル、表現を見直し、読みやすく、かつ原文の意図を正確に伝えるために行います。校正よりも翻訳内容に関与し、文脈や表現の自然さを確認し、必要に応じて修正を加えます。
主な作業内容:
- 原文との意味や内容の一致を確認
- 表現や文体の改善
- 用語の統一と一貫性の確認
- 文脈に合わせたニュアンスの修正
特徴: 翻訳の中間段階で行われ、内容の質を高めるための作業です。
クロスチェック(Cross-checking)
目的: 複数の翻訳者や校正者が相互に翻訳文を確認し合い、誤訳や表現の不一致を補正する作業です。異なる視点からのチェックによって、より正確で一貫性のある翻訳を実現します。
主な作業内容:
- 複数の翻訳者や校正者による相互チェック
- 原文と翻訳文の内容の一致確認
- 表現や用語の統一
- 誤訳や意味の誤解がないか確認
特徴: 特に重要な翻訳プロジェクトや専門性の高い文書で品質を保証するために行われます。
ネイティブチェック(Native check)
目的: 翻訳された文書を、母語話者(ネイティブスピーカー)が読み、自然で読みやすい表現や正しいニュアンスが伝わっているかを確認する作業です。特に、ターゲット言語の文化的な背景や慣習に沿った表現になっているかが重要です。
主な作業内容:
- 文脈に応じた自然な表現の確認
- 読みやすさや流れの確認
- 文化的な違いに基づく修正
- 不自然な直訳表現の修正
特徴: 翻訳文が母語話者にとって自然で読みやすいかどうかをチェックするため、ターゲット言語が母語である専門家が行います。
ポストエディット(Post-editing)
目的: 機械翻訳(MT: Machine Translation)で生成された翻訳文を人間の翻訳者が修正し、自然で正確な文書にする作業です。機械翻訳がますます使用される中、人間による後編集が重要な役割を果たします。
主な作業内容:
- 機械翻訳の誤訳や文法ミスの修正
- 文脈に基づく適切な表現の修正
- 意味の誤解や不正確な翻訳の修正
- スタイルや用語の一貫性を確保
特徴: 機械翻訳を利用した後、効率よく翻訳文を整える作業で、フル翻訳よりも迅速に行われます。
バックトランスレーション(Back translation)
目的: 既に翻訳された文書を元の言語に再翻訳するプロセスで、翻訳の正確さを確認するために行われます。このプロセスにより、翻訳された文書が原文の意図を正しく伝えているかどうかを検証できます。
主な作業内容:
- 翻訳文を元の言語に再翻訳
- 原文との比較により意味のずれや誤解を確認
- 誤訳や不正確な表現がないか検証
特徴: 主に重要な文書や法的文書など、正確な意味伝達が求められる場合に使用されます。
各用語の違い
- 校正: 翻訳文の最終段階で技術的な誤りを修正。
- 校閲: 内容や表現の質を向上させるための見直し。
- クロスチェック: 複数の人間による相互チェックで、誤訳や表現の違いを修正。
- ネイティブチェック: 母語話者が翻訳文の自然さと文化的適切さを確認。
- ポストエディット: 機械翻訳後の人間による修正で、正確な翻訳文に仕上げる作業。
- バックトランスレーション: 翻訳文を元の言語に再翻訳し、正確性を確認。
それぞれが異なるプロセスや目的を持ち、翻訳の品質を高めるために活用されます。
「翻訳」後に組み合わせる作業
翻訳と以下の作業を組み合わせてのご依頼も承ります。
・DTP(版下作成)
パンフレット、チラシ、カタログなどの版下から日本語テキストを抽出し、翻訳した後、日本語テキストの箇所に外国語を入れる、または日本語と併記します。
・映像字幕作成
映像につけられた日本語字幕を外国語に翻訳します。納品形式は、ワード、エクセルなどのテキストファイルのほか、そのまま映像ファイルにはめ込み可能な画像ファイルでも納品可能です。
・ナレーション録音/ナレーター派遣