特許出願にあたっては、「願書」「特許請求の範囲」「明細書」「要約書」「図面」の5つの書類の提出が必要です。
1.「願書」
発明者や特許出願人の住所氏名などを記載して、発明者や特許出願人を特定します。
2.「特許請求の範囲」
「特許請求の範囲」には、特許を受けようとする発明を特定するために必要な事項の全てを、明確かつ簡潔に記載しなければなりません。この記載が、広い範囲を含むように表現すれば強い権利になりますが、審査ではねられる可能性も高くなります。
また、審査に通るようにと極端に狭い表現をすると特許権としての価値がなくなる場合もあります。
また、記載内容に不備があると特許権を取ることができなくなります。
特許請求の範囲は、複数の請求項に分けて記載でき、各請求項ごとに審査が行われます。請求項は、一般に上位概念の発明から下位概念の発明へと展開していきます。
「特許請求の範囲」の形式
特許請求の範囲は発明が明確で簡潔に記載されているならば、どのように書いてもかまいません。ただ、一般的には特許請求の範囲の書き方の形式は一定のものが使われています。以下に主要な記載形式を挙げます。
◎要素列挙型
発明の構成要素を並列的に列挙していく形式です。
◎ジェプソン型
はじめに従来技術を述べておいて、続いて従来技術をどうしたかを述べる形式です。「~において、~を特徴とする~」という形になります。
◎マーカッシュ形式
これは特許請求の範囲の形式というよりは、構成要素を記述する場合の形式という方が正確です。
◎その他
3.「明細書」
明細書は、特許請求の範囲に書かれた発明を詳しく説明する書類です。
明細書の項目として
【発明の名称】・【技術分野】・【背景技術】・【発明が解決しようとする課題】・【課題を解決するための手段】・【発明の効果】・【発明を実施するための最良の形態】・【産業上の利用可能性】・【図面の簡単な説明】・【符号の説明】
を記載することが一般的です。
「明細書」の記載と「特許請求の範囲」の記載は矛盾してはいけません。
また、発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が実施できる程度に明確かつ十分に記載しなければなりません。
4.「要約書」
明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要などを記載した書類です。
5.「図面」
発明の内容の理解に役立つものを添付します。ただし、発明の内容によって必要でない場合は添付しません。
外国への特許出願(パリルートとPCTルート)
海外で特許を取得する方法としては、パリルートによる出願とPCTルートによる出願があります。
■パリルート
パリルートによる出願とは、「パリ条約」に基づき外国出願をすることです。具体的には、特許を取得したいそれぞれの国に個別に出願をします。基本的には、それぞれの国の言語で、それぞれの国の法律で定められた形式により出願書類を作成する必要があります。
すでに日本で特許出願を済ませており、かつその出願の日から1年を経過していない場合には、優先権を主張することができます。
優先権を主張すると、各国での審査における新規性・進歩性等の特許性の判断は、実際の外国出願の出願日ではなく、基礎出願の出願日が基準となり、有利な審査が受けられます。
■PCTルート
PCTルートによる出願(国際出願)とは、特許協力条約に基づき外国出願をすることを意味します。
国際出願の場合は、特許を取得したいそれぞれの国に、個別に出願するといった手間を省くことができます。
具体的には、例えば、日本の特許庁に1つの言語で1つの国際出願をすることにより、他の指定国にも出願したのと同様の効果が生じます。但し、指定国はPCT加盟国に限られます(現在のところ台湾等はPCTに加盟していません)。
PCT出願をすると、指定国の全てについて、国際出願日に出願されたものとみなされます。
また、日本にすでに出願をしており、かつその出願の日から1年を経過していない場合には、その出願を基礎として、優先権を主張することもできます。
中国への特許出願方法