- 紺:ゲルマン語派 GERMANIC ドイツ語 GER、英語 ENG、オランダ語 DUT、スウェーデン語 SWE、デンマーク語 DSH、ノルウェー語 BOK、NN、アイスランド語 ICE など
- 橙:ロマンス語派 ROMANCE イタリア語 ITA、フランス語 FRE、スペイン語 SPA、ポルトガル語 POR、ルーマニア語 ROM など
- 赤:スラヴ語派 SLAVIC ロシア語 RUS、ウクライナ語 UKR、ポーランド語 POL、チェコ語 CZE、スロバキア語 SLO、クロアチア語 CRO、セルビア語 SRB、ブルガリア語 BUL、ベラルーシ語 BLR など
- 紫:ヘレニック語派 GREEK ギリシャ語 GRK
- 緑:ケルト語派 CELTIC ウェールズ語 We、ブルトン語 Bre、アイルランド語 Ir、ガリア語 Ga
同じ色の言語が、グループ(語派)を形成しています。
グループ内の言葉は、相互距離が近い=似ているコトバ ということになります。
次に、各語派の特徴を見ていきましょう。
ゲルマン語派
英語、ドイツ語を2極としながら、スカンジナビアやアイスランドの北欧語がかたまりをつくっています。
オランダ語は、英語とドイツ語の双方に近いことが分かります(ドイツ語により近い)。
ドイツ語は、バルト語派 BALTIC を媒介にして、スラヴ語派の方に飛び出していますね。
「ドイツ語とロシア語は似ている」と、よく言われますが、じっさいには、「ロシア語はポーランド語に近い」んです。隣国どうしですし。
「英語とドイツ語は似ている」というのも定説ですが、現実的には、英語は北欧語(とくにノルウェー語、デンマーク語)からの影響が大きいようです。バイキングの影響ですね。
英語のもう一つの特徴は、フランス語との関係。
ゲルマン語派のなかで唯一、英語はフランス語へ近寄っていることが見て取れます!
ロマンス語派
ロマンス語派は、ラテン語を親とする子供たちです(ラテン語は死語なので、この図には載っていませんが…)。
母親によく似た長女と言ってもいいイタリア語は、グループの中央に鎮座しています(かつてはこの位置にラテン語がいたんでしょうね)。
「フランス語-イタリア語-スペイン語-ポルトガル語」の類縁関係はよく知られていますが、図にもはっきり表れています。
面白いのは、バルセロナ周辺のカタロニア語 CAT と、イタリア南部の島のサルデーニャ語 SRD。
スペイン語やイタリア語の方言ではなく、独立した言語として扱われているんですね。
異色なのは、ルーマニア語。地理的には東欧なのに、Romania と綴るように、もとは Roma の勢力圏でした。そうした背景があって、(アルバニア語を経由してですが)スラヴ語派の方に引っ張られています。
スラブ語派
印欧語族(インド・ヨーロッパ語族)3大語派のひとつ、スラヴ語派は、ゲルマン語派、ロマンス語派から遠く離れた位置にあります。
西欧の言葉(ゲルマン語派、ロマンス語派など)と、東欧(スラヴ語派)の言葉が、大きく異なっている、というのが、この図から一目瞭然ですね。
しかも、ロシア語はというと… スラヴ語派の右端にいますね。
英語やフランス語からは、最大限に離れたところにいます!
ヘレニック語派
ここには、ギリシャ語のみが属しています。なので、ギリシャ語派とも呼ばれます。
ヘレニック Hellenic の Hellen へレーン とは、ギリシャ神話の人物で、古代ギリシャ人が自分たちを「へレーンの一族」と自称したことに由来します。ヘレニズム文化も Hellenism と書きます。
古代ローマ人は、古代ギリシャから大いに文化を採り入れた、ということですが、ロマンス語派とギリシャ語って、この図からすると、ほとんど類縁関係がないんですね。
また、ロシア語などを書くためのキリル文字は、ギリシャ文字がベースになっていますが、スラヴ語派とギリシャ語も、ほとんど関係がないんですね。
ケルト語派
地理的に考えて、英語やフランス語に近いのかと思いきや、ウェールズ語が英語と、ブルトン語(仏・ブルターニュ地方の言葉)がフランス語と細々と繋がっているだけです。
かつて、欧州全体の支配言語だったとも言われているケルト語ですが、長い年月を経て、僻地に追いやられてしまったんですね。
フランス語-英語-ドイツ語 の関係
各語派のようすや、ドイツ語-ポーランド語、ルーマニア語ースロバキア語など、語派を超えて類似性が認められる言語について見てきました。
そのなかで特筆すべきは、「フランス語-英語-ドイツ語」の関係です。
英語は、ドイツ語とフランス語の中間にありますね。
もっと言うなら、英語はドイツ語同様、ゲルマン語派のなかに居ながら、フランス語との関係が強い。
あるいは、英語は、兄弟であるドイツ語から遠ざかろうとしつつ、フランス語の方に強く引っ張られている…
大学で第二外国語を選択するとき、「ドイツ語とフランス語のどちらを選んだらいい?」という問いに対して、「ドイツ語の方が英語に似てるよ」と言うひともいれば、「フランス語の方が単語は似てるよ」という意見のひともいます。
正解は…「英語との近さ」という点では、ドイツ語もフランス語も、似たり寄ったりなんですね。
はっきりと言えることですが、「英語はフランス語に近く」、「英語とドイツ語の共通点は限定的」です。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
英語との相乗効果が抜群! 第二外国語は「フランス語」一択で 英語の次に学ぶべきは、「ドイツ語か、フランス語か」と迷っていませんか?「絶対に、フランス語です」。その理由について、くわしく説明していきます。同じ色の言語が、グループ(語派)を形成しています。
グループ内の言葉は、相互距離が近い=似ているコトバ ということになります。次に、各語派の特徴を見ていきましょう。スペイン語人がイタリア人の話をずっと聴いているとなんとなく言うことがわかるんだそうです。それぐらい二つの言語は似ているのだそうです。Teresa Elms さんが、ロシアの論文”Metatheory of Linguistics”の研究結果を2008年に図にしたのが、「ヨーロッパ言語距離チャート」です。ヨーロッパに多数ある言語の「語彙」の類似性を元に、似ている言語の間をより太い線で繋いでいます。ここでは、語彙のみを比較していますので、文法が似てるわけではありません。それぞれの丸の大きさは、その言語を話す人口の大きさを示します。同じ言語グループに属している言語は、同じ色が塗られています。・フランス語・イタリア語・スペイン語などを擁するオレンジのロマンス語
・ドイツ語・英語・北欧諸語の青いゲルマン語
・ロシア語や東欧諸語の赤のスラブ語・ケルト諸語(緑)
・ギリシア語(薄紫)
・アルバニア語(薄緑)
・バルト諸語(紫)
・フィン・ウゴル語(黄色)
秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログさんの「ヨーロッパのそれぞれの言語はどれぐらい似ているのか、の図」を参照させていただきました。