カンボジアの首都プノンペンから、ベトナム一の大都市ホーチミンとは、バスで6時間と言う近距離にあります。しかしながら、カンボジア語とベトナム語は、音韻、文法、表記法に若干の類似点があるものの、実際は大きな差異があります。

言語系統:

カンボジア語(クメール語)は、オーストロアジア語族のモン・クメール語派に属しています。これに対して、ベトナム語はオーストロアジア語族のベト・ムオン語派に属しています。

文字:

カンボジア語は、クメール文字(アブギダ式の文字)を使用しています。一方、ベトナム語は、ラテン文字ベースのクオック・グー文字(現代ベトナム語で主に使われる)を使用しています。

音韻論:

カンボジア語には子音と母音が豊富で、26の母音と33の子音があります。一方、ベトナム語は6つの単母音、3つの複合母音、および21の子音を持っています。また、ベトナム語は6つの声調を持ち、それらは単語の意味を区別するために使用されます。一方、カンボジア語は声調言語ではありません。

文法:

カンボジア語とベトナム語の文法は、どちらもSVO(主語-動詞-目的語)の語順を持っています。また、両言語ともに、接辞を使用して語彙を派生させたり、複合語を作成したりすることが一般的です。

語彙:

カンボジア語とベトナム語は、それぞれ独自の語彙を持っていますが、両言語ともにサンスクリットやパーリ語からの借用語が多く含まれています。さらに、ベトナム語は中国語やフランス語からの借用語も多く含まれています。

文化的影響:

カンボジア語とベトナム語は、インド文化、特に仏教文化の影響を受けており、宗教や哲学の用語にそれが表れています。一方、ベトナム語は、長い歴史の中で中国文化やフランス植民地時代の影響も受けています。このため、ベトナム語には、中国語やフランス語からの借用語が多く見られます。

方言:

カンボジア語には、主にクメール中心部を基盤とする標準クメール語と、他のいくつかの地域方言があります。ベトナム語では、主に北部方言、中部方言、南部方言の3つの主要な方言が存在します。これらの方言は、発音、語彙、文法などにおいて相互に違いがあります。

社会言語学的要素:

カンボジア語とベトナム語は、敬語や丁寧な表現が重要な役割を果たしています。両言語ともに、年齢、社会的地位、関係性などを反映した敬語の使用が一般的です。

総合的に見ると、カンボジア語とベトナム語は、言語学的特徴や起源においていくつかの違いがあるものの、両言語は「オーストロアジア語族」に属しており、文化的な影響や社会言語学的要素において共通点も見られます。

また、両言語ともに、インド文化や仏教文化の影響を受けている点も共通しています。
これらの違いと共通点を理解することで、カンボジア語とベトナム語の言語的な特徴と関係性がより明確になります。

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